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大阪大学大学院医学系研究科 腎疾患統合医療学 (Department of Comprehensive Kidney Disease Research, Osaka University Graduate School of Medicine)

TEL. 06-6879-3747

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2 バイオ棟6階 E60-01

「透析療法中の骨粗鬆症におけるテリボン®投与の薬物動態と安全性の検討」研究

研究の目的

 慢性腎臓病患者さん、とくに透析患者さんでは、ミネラル代謝のバランスが崩れることにより、骨の健康が損なわれています。透析患者さんで骨回転の異常が生じると、骨折などの骨の障害だけでなく、血管の石灰化や心血管の合併症や死亡につながります。透析患者さんでは、ビタミンD製剤、シナカルセト塩酸塩、リン吸着薬などの薬剤による管理が行われていますが、骨粗鬆症治療には効果が不十分なことも多いのが現状です。一般的な骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネート製剤やエストロジェン受容体選択的調節薬(SERM)は、透析患者さんで禁忌薬剤や慎重投与の薬剤となっているため使用しづらく、新規骨粗鬆症治療薬が安全かつ有効に使用できる可能性に期待がかかります。
 テリボンⓇは、骨粗鬆症の治療薬として2011年に発売された皮下注射のお薬です。骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者さんに投与することで、骨粗鬆症を改善する効果があります。しかし、現状では、透析患者さんにおいて安全かつ有効なテリボンⓇの投与方法は、確立されておらず、各医師の裁量で使用されています。
 そこで本研究では、「透析患者さんのお薬の血中濃度を調べ、透析患者さんでの安全かつ有効な薬の投与方法を確立したい」と考えています。 本研究によって、透析患者さんにおけるテリボンⓇの安全かつ有効な投与方法が確立されれば、透析患者さんの今後の骨粗鬆症治療、骨折や予後を改善することに大いに役立つと考えています。

研究の方法

 透析療法中で、テリボン投与を開始する予定の骨粗鬆症患者さんに本研究への参加をお願いしています。この研究は2014年6月から2018年12月末までおこなわれます。20人の患者さんに参加して頂く予定です。研究に参加頂く期間は、本研究への参加同意を頂いた時点から1週間です。

●血液透析患者さん
  本研究に参加して頂ける血液透析の方には、別々の透析日に「生理食塩水を皮下注射」もしくは「テリボンⓇを皮下注射」し、血液透析用の針やカテーテルもしくは、透析回路より採血(合計10回/日、55mL/日を1日間)を行います。透析終了後には、透析回路もしくは新規穿刺のいずれかにより採血を行います。


●腹膜透析患者さん
 本研究に参加して頂ける腹膜透析患者さんには、点滴用の針を留置した上で、「テリボンⓇを皮下注射」し、点滴用の針より採血(合計10回/日、55 mL/日を1日間)を行います。


 透析を行うだけでも、骨代謝に関わる検査値の変動がみられるため、生理食塩水投与を行った日とテリボンⓇの投与を行った日の検査値を比較することにより、テリボンⓇの効果や副作用を判断します。
 テリボンⓇ・生理食塩水皮下注射以外の治療法の選択に関しては、主治医と患者さんに一任されており、本研究により影響を受けることはありません。血液検査では、テリボンⓇの血中濃度や骨代謝に関わる血液検査データの評価を行います。本研究の血液検査は、本研究のために施行させて頂きますが、通常の診療において診断に使われた検査検体の残りも併せて使用し、できるだけ採血量を少なく致します。
 その他、通常の保険診療で行われた検査結果(血液検査の数値データなど)や、患者さんの状態を調査するため、診療録(カルテ)を閲覧させていただきます。

本研究に参加することによって予想される利益と不利益

 本研究により骨折抑制効果の高い本薬剤を透析患者さんでも安全に使用できることがわかれば、今後、安心して本薬剤を使用することができます。 どのようなお薬にも副作用があります。テリボンⓇの主な副作用として、これまでの報告では、悪心(18.6%)、嘔吐(8.6%)、頭痛(7.6%)、倦怠感(6.2%)、腹部不快感(4.1%)、めまい(4.1%)などがあります。これらの副作用症状出現の原因は、投与直後から数時間後にかけての血圧低下(めまい・ふらつき)、一過性の血清カルシウム値上昇(便秘、悪心・嘔吐等)が原因と考えられています。入院中にこのような症状が発現した場合は、適宜、必要な処置を行います。本研究では、血液中のカルシウム濃度を定期的に測定して、慎重に経過観察を行います。また、頻度は少ない(0.3%)ですが、重大な副作用として、ショック・アナフィラキシー様症状が出現することが報告されています。本研究は骨粗鬆症診療で一般的に使用されている薬を用いており、本研究に関わる特別な補償はありません。
 なお、この研究により特許権など知的財産権が生じた場合、その権利は研究機関や研究遂行者等に属し、患者さん個人には属しません。

研究計画及び研究方法の開示

 あなた自身あるいはあなたが指定された人が希望された場合、他の被験者の個人情報保護や当研究の独創性確保に支障がない範囲内で、本研究の計画および方法についての資料を提供いたします。本研究の計画・方法に関する資料の入手・閲覧をご希望の際は、本文書末尾に記載されている「問い合わせ先」までご連絡ください。

研究への参加にともなう費用について

 本研究に係る検査等(保険が適用されない特殊な血液検査など)、生理食塩水投与は、腎臓内科の研究費および旭化成(株)の協力により行われます。保険適応がない検査は、血中の25位水酸化ビタミンD濃度や透析日の同日に施行される3回以上の測定項目などです。テリボンの血中濃度の測定は、旭化成(株)に血液検体を送付し、旭化成(株)の協力により測定を行います。研究にご協力頂いても、謝礼や交通費などの支給はなく、研究以外の検査と診療については、通常通り保険診療で行います。また、テリボンⓇ投与についても保険診療での支払いが生じます。

個人情報の保護

 学会や論文等で、あなたを含む多くの方の検査結果に基づいた研究成果を発表することがあり、最終的な研究成果については大阪大学腎臓内科のホームページ上でも閲覧することができるようにする予定です。あなたの個人情報は担当医師と大阪大学における研究管理者以外の目にふれることはなく、上記発表において検査を受けられた方の名前や身元などプライバシーが外部に漏れることはありません。提供いただいた血清および尿は、患者さんの名前ではなく個別の番号を付けたチューブで冷凍保管します。このため、別の鍵付き保管庫に保存してある対応表を見なければ、冷凍保管してある血液・尿が誰のものであるか分からないようになっています。この研究で得られた血液・尿検体は、研究終了後、大阪大学腎臓内科で保管され、他の研究に利用する可能性があります。血液検体の2次利用については、別紙「包括同意説明文書」をよく読んだ上で、ご協力いただける場合は、包括同意書にご署名をお願いします。お断りになる場合は、研究終了後、当院の規定に従って廃棄します。

ご協力のお願い

 当院は大学病院であり、患者さんの治療は当然ながら、医学の発展に貢献するという社会的使命も担っております。本研究の内容をご理解頂き、是非ご協力くださいますようお願い申し上げます。
 しかし、ご協力いただけるかどうかは、患者さんの自由意思で決めていただくことになっています。ご協力いただけないからといって、当院での今後の診療においてあなたが不利益を被ることは一切ありません。また、本研究へのご協力に一旦同意された後でも、同意を取り消すことができます。この場合も、取り消された後の診療において不利益を被ることは一切ありません。同意を取り消され、保存血液・尿の廃棄を希望された場合は、所定の処理要項に従って保存血液を処分しますが、すでに得ている研究データは使用させていただきます。納得していただけましたら同意書に署名をお願いします。
  なお、本研究の内容は大阪大学医学部附属病院の倫理審査委員会で審査を受け、医学的・倫理的に適切であり、患者さんの人権が守られていることから、その実行が承認されたものです。

お問い合わせ先

 本研究に関する質問がございましたら、下記までご連絡下さい。

連絡先:〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部附属病院 腎臓内科
Tel & Fax: 06-6879-3857
研究責任者:猪阪善隆 (病院教授)
担当医師:
中野智香子 (特任助教)、濱野高行(寄附講座准教授)、北村温美(助教)、岩谷博次 (助教)


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FAX 06-6879-3746

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TEL +81-6-6879-3747
FAX +81-6-6879-3746

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